皆さん、こんにちは。
鹿児島市皇徳寺台の歯医者『さとう歯科医院』の院長 佐藤です。
お読みいただきありがとうございます。
前回のコラムで歯磨き粉に入っている成分について書かせていただきましたが
その効果、効き目については書くことができなかったので
本日はそれについて書いてみようと思います。
歯磨き粉って効き目があるの?
歯磨き粉には、様々な薬効成分が加えられています。
皆さんがよく耳にするのは
『酵素配合』
『フッ素配合』
『トラネキサム酸配合』
『IPMP配合』
などではないかと思います。
では、これらの成分についてご説明していきましょう
①フッ素
最近の歯磨き粉には、ほとんどと言っていいほど配合されていますね。
正式には『フッ化ナトリウム』や『モノフルオロリン酸ナトリウム』という形で
入っているものがほとんどです。
フッ素については、ほとんどの方がご存知だと思いますが、
歯質強化、つまり、エナメル質を硬くする効果があります。
が!!!
今、皆さんがやっている歯磨きの仕方では
フッ素の効果を全く期待できません!!
それはなぜかというと・・・
歯磨きが終わった後に、皆さんお水でお口をゆすぎますよね。
それがフッ素の効果を全くなくしてしまうのです。
1回ゆすぐだけでフッ素の効果は60〜70%なくなると言われます
2回ゆすいだら80〜90%なくなり
3回ゆすぐと95%以上、フッ素のむし歯予防効果はなくなります
では、どのようにすれば、フッ素の効果を保てるのでしょうか?
それは・・・
歯磨き粉をつけて歯磨きをした後に『水でゆすがない』のです!!
そう!
口の中の泡立った歯磨き粉を『ペッ、ペッ』と吐き捨てるだけ。
一切お水を使うことなく、ゆすぐことなく、そのままにしておく。
こうすれば、歯磨き粉の中に入っているフッ素成分が
歯の表面に付着したままとなり、むし歯予防に効くという状態になります。
『え〜〜〜』って思う方が多いと思いますが、
実際にやってみると、最初は気持ち悪さが若干ありますが、
10分も経つと、それほどの違和感はありません。
(実際に僕はやってみましたので間違いありません(笑))
②歯周病に効くとされている成分
トラネキサム酸や塩化ナトリウム、CPC、IPMPなど
多くの成分が歯周病予防ということで入れられています。
が・・・
僕は、これらに関しては、
大した効果は期待できないだろうと思っています。
効果が全くないとは言いませんが、
逆に、確実に効果があるというのなら
それは『医薬部外品』ではなく『医薬品』となります
そう!!
『医薬部外品』とは、僕の中では、
効かなくてもよいもの、いや『効かないもの』という認識です。
その理由はもう一つあります。
それは、歯周病の治療や予防に絶対的に必要なのは
【プラーク(歯垢)を歯の根元から除去すること】だからです
どれだけ成分が入っているからといっても
プラーク(歯垢)が残っていては、歯ぐきの炎症は引かないのです
ということは、もちろん歯周病は改善しません。
含まれている成分は、それ自体で病気を治すような力はなく
あくまでも補助的な成分だと思っておいて下さいね。
③しみを抑える成分
乳酸アルミニウム、硝酸カリウムなどが
歯のしみを抑える成分として入っているものがあります。
確かに成分の作用としては、しみを抑える効果を持ってはいます。
最近、盛んにCMで見るのが『シュ◯◯クト』という歯磨き粉です。
有名な芸能人を使って
『しみるのを治してくれるんです』
なんてことを言ってくれるので
それに騙されてこれを使ってゴシゴシ擦って磨いている人たちが
どれだけ多いことか!!
確かに、しみを抑える成分は入っているかもしれないけど
それと同時に、研磨剤も入っているんですよ。
しみを抑える成分は入っているけど、
効き目のある『医薬品』ではない
あくまでも『医薬部外品』
さらに、そこに研磨剤までしっかり入っている。
研磨剤は『医薬部外品』でも、ちゃんと歯を削り取る。
その歯磨き粉をつけて力まかせにゴシゴシやると・・・
結果は・・・
自分の歯の根元を削ってしまうのです
そして、かえってしみるようになる
むし歯ではなく、知覚過敏でしみるのは
90%以上、歯磨き粉の研磨剤で歯を削ってしまってしみています。
本当にこれだけはご注意下さいね。
こんな風に、歯磨き粉に入っている成分は
あくまでもそういう作用を持っているものが入っているというだけで
それを使えば、症状が全て改善するというものではないということだけは
きちんと認識しておいて欲しいと思います。
『フッ素』に関しては、使い方だけ正しくして貰えば
『フッ素』としてのむし歯予防効果を発揮してくれます。